寄り添われて
山崎 志津子(やまざき・しずこ)
私は現在4人の娘を育てております。そのうち、次女、三女は聖路加産科クリニック(※)で出産、四女は聖路加国際病院でとりあげていただきました。
助産師の方々は、いつも私の心と体に寄り添い、心温まる看護をしてくださいました。本当に感謝しています。
実は、私たち家族にはもうひとり、三女と四女の間に息子がいました。私の体内でしか生きることができなかった6か月だった我が子です。ポッター症候群(※)という病気でした。私のお腹の中に生命が宿り、その後成長していく過程で肺がうまく育たず、この世では生きることができない病気です。いつも楽しみにしていた妊婦健診で異常がわかり、私の心は不安でいっぱいでした。次の1週間後の健診までにお腹の子を6か月で中絶するか、10月10日の間、私のお腹の中で一緒に過ごし、みとるか、選択しなければなりませんでした。その日から、夫とたくさん話し悩み、考え、涙する日々でした。私の心はとても不安定でした。夫や子どもたちにあたったこともあります。そのような日々を過ごし迎えた健診の日、私たち夫婦は息子とお別れすることを決心しました。
健診で中絶することを山中美智子先生に告げた時、泣きじゃくり、とても冷静ではありませんでしたが、そんな私の心に先生はじめ、看護師さん、助産師さんが寄り添ってくださいました。ただ側にいて、話を聞いてくださった堀内成子助産師もまた、一緒に悲しみ、アドバイスをくださいました。
6か月というとても小さな体の息子を中絶し、家族で温かく見送ることができたのも、心の準備を一緒にお手伝いしてくださった看護師さんや助産師さんがいてくださったからです。
聖路加国際病院の教会で、チャプレンにきちんと送られた息子は、天国から私たち家族を笑顔で見守ってくれているような気がします。
私は4度出産を経験していますが、助産師さんがいる安心感、一緒に子どもが産まれた時に心から喜んでくれる姿が本当に印象的です。
改めて、私たち家族を支えてくださった山中先生、助産師さん、看護師さんの皆さま、本当にありがとうございました。
病院はたくさんの命と出会い向き合う場であり、時には別れと立ち会う、大変な現場だと思います。どうか、私のような不安、悲しみ、苦しむ人々の心に寄り添ってあげてください。看護という仕事に誇りを持ち、これからも目の前の人を笑顔にしてください。さらなるご活躍をお祈りしています。
4児の母。聖路加産科クリニック、聖路加国際病院で3児を出産。
聖路加産科クリニック
ローリスクの妊娠・出産・産褥期の女性を対象に助産師が継続ケアを行う診療所(2010年~2017年)。現在は、聖路加助産院マタニティケアホームに組織変更した。
ポッター症候群
両側の腎無形症や形成不全により羊水過少をきたし、肺低形成や四肢変形を生じる症候群である。