私の産み場所

船木 裕美(ふなき・ゆみ)

私は2010年と2014年に、息子と娘を聖路加産科クリニック(※)にて出産しました。最初の息子の出産はちょうど産科クリニックが開院した年でした。私にとって聖路加産科クリニックでのお産は、「おうち」のような安心できる場所で、妊娠期間から出産、そして産褥入院生活までが本当に楽しい思い出です。

妊娠期間中、定期的に通う妊婦検診では、特に医療的な面で問題がない場合は基本的には助産師さんが診てくださいます。それは「医療的な異常の有無」を告げられるような検診ではなく、「大丈夫よ!」と心身共に寄り添っていただいている安心感を常に感じられるものでした(ちょっと体重の増加に気をつけて、はありましたが(汗))。

そんな妊娠期間を経た出産は、初めての出産にもかかわらず不安などはほとんどなく、赤ちゃんの命の神秘に感動しながら、むしろ出産の瞬間を楽しみに思う気持ちがどんどん膨らんでいきました。私自身、身をもって実感したことですが、出産において安心感ほどの安産材料はないのではないでしょうか(実際に超スピード安産でした)。

もちろん出産の瞬間はこれまでの人生で経験したこともないような痛みに叫んでいたとは思いますが、出産の痛みは決して嫌な痛みではありません。最高に気持ちの良い達成感と爽快感、そして何より温かな幸福感に包まれ、出産直後に「楽しかった、また産みたい!」と思えたことをはっきりと覚えています。

産後も慣れない新生児との新しい生活に助産師の皆さんが絶妙に寄り添ってくださり、母子ともに大きな安心感の中で順調にスタートすることができました。身体に優しい自然素材なお食事も本当に美味しくて、2回目の出産の時はまたあのお食事が食べられることが一番の楽しみだった気がします(笑)。

妊娠出産は究極の生理現象ではありますが、病気ではありません。もちろん現代の医療によって助かる命があるというのは素晴らしいことです。一方で、必要以上の医療介入はむしろもったいないな、とも思います。母親の産む力と、子供の生まれる力を最大限に引き出すこと、それこそが本来の「お産」だと思いますし、そのための心身のサポートをしてくれる場所、それを私に教えてくれたのが聖路加産科クリニックでした。

Profile

株式会社ママイト経営。聖路加産科クリニックにて2児を出産

聖路加産科クリニック
ローリスクの妊娠・出産・産褥期の女性を対象に助産師が継続ケアを行う診療所(2010年~2017年)。現在は、聖路加助産院マタニティケアホームに組織変更した。

100のエピソードに戻る