世界が舞台のギリギリガールズ
マガフ 範子(まがふ・なおこ)
地方国立大学在学中から、NGOに所属して開発途上国で助産師ワーカーとして働きたいと思っており、都内で臨床経験を積んだ後に、NGOを受験しました。が、夢破れ、途方にくれていた時に、小澤道子先生とご主人の英輔先生が大学院進学という新たな道を与えてくださいました。進学を微塵も考えていなかったので、まさかの話でした。この私が大学院進学? 自信はありませんでしたが、こんな素晴らしい機会をいただき感謝し、がんばるしかないという気持ちになりました。
大学院の2年間は本当に貴重な時間でした。
まずは、素晴らしい恩師、田代順子先生と長松康子先生の出会い。論理的思考ができず、自己分析しては泣き、論文がなかなか進まない中、田代先生はじめ国際看護学ゼミの方々にお世話になり、最後の最後まで付き合っていただきました。
次に、苦楽を共にした同期たちとの出会い。看護学のさまざまな分野の同期たちと交流することができ、それぞれの分野に関する熱い情熱を語り合いました。私を含め「ギリギリガールズ」と呼ばれた数人は、校舎で朝を迎えることが多々ありました(笑)。
また、インドのフィールドでの出会い。大学院在学中にオーストラリアで開催された国際助産師学会でインド人の助産師Manju先生に出会い、インドで伝統的助産師についてフィールド調査をしたいと伝えたところ快諾してくださり、インド滞在中たいへんお世話になりました。
あの2年間は、私にとって濃密な時間でした。あれほど看護学について真剣に真摯に考え、語り、文章化していくことはありませんでした。ギリギリガールズたちと論文締め切り当日の朝まで、本当に本当にギリギリまで魂を込めて書き上げた修士論文を提出した瞬間の、解放感と安堵感は忘れません。
修士課程修了後は、念願のNGOに入り、タンザニアで助産師ワーカーとして3年半活動しました。その後、結婚して3人の子どもに恵まれ、ボツワナ、カンボジア、マラウイ、ナイジェリア、エチオピアを経て現在はコンゴ共和国に住んでいます。どの国でも、自宅を開放して母乳ケアを中心に母子保健に関わってきました。また、マラウイ滞在中から、武蔵野大学でオンラインの国際看護学を担当しています。
聖路加での、素晴らしい先生方、仲間との出会いに感謝しています。卒業した今も、それぞれの場所で大活躍している先生方や同期たちを尊敬し、私も微力ながらできることをがんばっていこうと思います。
2007年大学院修士課程修了。タンザニアで助産師として活動後、ボツワナ、カンボジア等を経て、現在はコンゴ共和国在住。旧姓は清水。